エステル・ユスターシュの航海日誌

FINAL FANTASY XIV Player's Logbook

第4章 空へ

※この物語はあたかも本編準拠のような単なる妄想です。
※ときどきネタバレとか含まれちゃうかも知れません。





 
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「ウルダハ、ですか? 私が?」
 トゥビルゲイムさんの話にきょとんとした。
 いや、ウルダハがザナラーン地方を領有する荒野の商都で、エオルゼア六大都市国家のひとつで、三国による都市軍事同盟の主力なのは外国人の私だって知ってるよ?
 問題はそこじゃない。
「税関公社の業務の一環でね」
 っていうか、ギルドに入門してからこっち仕事しかしてないんですけど!
「まぁ、言ってみればお前さん初の海外出張ってところだね」
 とのこと。
 って、海外出張ォ!?
 そりゃビックリだよ! 私なんて駆け出し冒険者として巴術士ギルドの入門生って扱いのまま、税関公社の嘱託職員として雑務やらされてる木っ端役人だよ? 確かに、インターンとかって言えば聞こえはいいかも知れないけど。
 ともあれ、海外出張とかって、もうちょっと偉かったりちゃんとした人がやるものじゃないの?
 だから、
「え、それって、私でいいんですか?」
 って訊いちゃったよ。
「公社としてはク・リヒャにやらせたかったらしいけど、な?」
 なるほど。それで理解した。
 若くして主任検査官を務めるク・リヒャ先輩なら適任なんだけど、例のモーニングスター号の一件以来、すっかりふさぎ込んじゃって。明らかに違法な私闘までしでかしたのに、大切な魔道書はもう使い物にならなくなってて。
 あれから何度か自宅も訪ねたけど、顔も見ていない。
 そっか、私、先輩の代役やらせてもらえるくらいには信頼してもらってるのか。
「えっと、私でよければ、行きますけど」
 その返事が、まさかあんな事件に発展するなんて!


 
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 その大事件については、また今度にするとして。
 海外出張となるといろいろ買い出しも必要で、もらった経費握りしめて街商通りを行ったり来たり。すっかり日も暮れて、だけどさすがは港町って感じで人がわいわいと行き交う中、とあるキキルン族の露天商を見つけた。
 まぁ、案の定なんかガラクタの類を並べてはいるんだけど、あと訛りがキツくってなに言ってんのかよくわかんないんだけど。
 そこで、彼を見つけた。
 まるでおもちゃの兵隊さんみたいな、細い手足で気を付けの姿勢。
 いわゆる魔法人形、マメットってやつ。
 たぶん、エオルゼアに来て初めての遠出で心細かったのかな。仲間が欲しかったんだと思う。ただそれだけの理由。気まぐれ。
 薄給で節制してたはずなのに、気づいたらこう訊いていた。
「これ、おいくら?」
 今度は私がきょとんとされた。
「えっと……これこれちゃりちゃりいくつっちゃ?」
 よっし、これで完璧に通じるはず!
「二千四百ギル」
 なんでそこだけ流暢かなぁ! 私ばっかり恥ずかしいじゃん!


 
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 翌日、リムサ・ロミンサ公認の飛空艇搭乗許可証を手に、クロウズリフトでミズンマスト上層の飛空艇発着所へ向かった。
 エオルゼアの制空権を事実上握ってるガレマール帝国のせいで民間飛空艇の便数も激減してるらしい。許可証がなかったら私みたいな冒険者風情は乗れない代物。
 ってゆーかね! 私、飛空艇に乗るの初めて!
 空だよ! 空! 人間が! 空を! 飛ぶ!
 って、これは海の船みたいに酔わない、よね? 大丈夫だよね?
 あ、ヤバイ、だんだん不安になってきた……。
 って、気持ちで乗ったんだけど、そんな心配はなかった!
 なんだこれ! 気持ちいい! 速い!
 飛空艇はぐんぐんと、ぐんぐんと空へと昇り、海の都はあっという間に小さくなって、そしてすぐに見えなくなった。
 見渡せばそこには、群青の空と白い雲だけ。
 傍らには魔法人形。
 向かうは、砂の都ウルダハ。



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 エステルの物語 第1部