エステル・ユスターシュの航海日誌

FINAL FANTASY XIV Player's Logbook

第9章 サヨナラセンパイ

※この物語はあたかも本編準拠のような単なる妄想です。
※ときどきネタバレとか含まれちゃうかも知れません。




 
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 そりゃあね!?
 私もリヒャ先輩には元気になってもらいたかったよ!?
 モーニングスター号の一件だってリベンジする気満々だったよ!?
 そのためにも、落ち込む先輩のために駆けずり回ったよ!
 行方不明(音信不通じゃないとこがミソ)で変人で有能で明らかに先輩と相思相愛の巴術士ギルドマスターを捜してラノシア中旅させられて、結局は掌の上で踊らされてただけ! それどころか、実際に踊らされるとか!
 彼は言った。
「戦術は望む現実を作るためにある」
 だったら! リヒャ先輩と会わないことを望んでるってわけ!?
 あンのキザ野郎! 今度会ったら首根っこ掴んで十二神大聖堂連行して先輩とエターナルバンドさせてやるからなぁー!

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 それはさておき!
 マスターから預かった魔道書と私の渾身のダンス(我ながら踊りの才能あるんじゃないかって思った)で元気を取り戻した先輩はその日から取り憑かれたかのようにデュースマガ捕縛の作戦を練った。
 寝食忘れてって普通は心配するとこなんだけど、先輩に限っては逆。むしろ、そうじゃないと調子が悪そうなほど。
「何か手伝うことあります?」
 って訊いても、
「今、いいところですので、しばしお待ちを」
 と、いつものアレ。
 でも、いつもと違ってこう続いた。
「キミには作戦の要になってもらいますからね!」
 
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 で、その作戦っていうのがわけわかんないのよ!
 標的のモーニングスター号はブラッドショア沖合に停泊中で、いつ抜錨出帆してもおかしくない状態らしい。さすがに領海の外、それも東方にまで逃げられたらうちの公社もイエロージャケットも手出し出来ないわけで。
 だから、捜査の手が及んでることに気づかれてはいけない。完璧なまでの奇襲作戦が求められる。
 そこまでは私にもわかる。
 だから、コスタ・デル・ソルに遊びに来た冒険者っぽい風体で私もやってきた。これなら何か商売しててもおかしくないし、いざ荒事になっても戦える。
 でも、コスタ・デル・ソルに着くなり、ナゾの釣り人やらゲゲルジュ氏の下働きやら一流の料理人やら三児の母の踊り子やらからあれやこれやと頼まれる!
 このやり口、ギルドマスターの戦術と同じだ! 盤上に駒を布陣して、機を見て一気呵成に目的を果たす! 高地ラノシアで私が踊らされたヤツだ!
 でもでも、先輩! これが作戦なのはわかるけど、意図がわかりません!
 なんて思ってるとあれよあれよという間に私はなぜか極上のワイン、ローマニロッソを取り扱う商人にされていた。ただもらっただけなのに。
 あ、確かにこれなら、デュースマガ一味に納品できる立場だ。出帆前の海賊がお酒を仕入れないはずないんだし。
 水と食料、お宝を除けば、海賊が求めるものはあとふたつ。
 酒と女。
 いまブラッドショアの沿岸地域で私が一番いいワインを扱ってる。
 じゃあ、次に彼らが求めるのは「女」。
 このあたりではゲゲルジュ氏の趣味で(これだから成金は嫌いなんだよね)エオルゼア全土から踊り子が集ってる。
 ほらほら、嫌だよ。海賊連中が鼻の下伸ばして踊り子の品定めしてるしてる。

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 って、先輩!?!!?!?!!!?!?!

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 アンタなにしてんのだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?!?!?!?!?!

 って、危うく喉から出かかったツッコミを飲み込んだ。
 そりゃあね!?
 私もリヒャ先輩には元気になってもらいたかったよ!?
 モーニングスター号の一件だってリベンジする気満々だったよ!?
 なるほど、よーっくわかった! 私のことはともかく、一味はリヒャ先輩の顔知ってるわけだし変装しつつ潜入できるとかさすが先輩だけども!
 大人しい顔して、やりおる!
 斯くして、先輩と私は踊り子と商人のフリをして堂々と、舷門からモーニングスター号へと乗船した。








 
 
 
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「メルヴァン税関公社検査官だ! 海賊、毒心のデュースマガ一味! その罪は明々白々! 神妙に縛につけぇーっ!」
 先輩の必殺キックに続いて、私は精一杯声を張り上げた。
「アバズレ提督の飼い犬が! 調教されに来やがったか!?」
 デュースマガ船長のその言葉は、先輩の心の深いところを傷つける。だけど、彼女はもう倒れない。
「答えは否!」
 そう、リヒャ先輩は言い切った。
「戦術は、望む現実を作るためにある」
 だって、彼女には戦術という最強の武器があるから。
「この命題を証明しに来たのです!!」
 それはギルドマスターからの課題でもある。
「デュースマガ……覚悟してください!」
 彼我戦力差は一対九! それでも負ける気はしない!
「これまで、お前が私にしてきたこと……」
 だから、負けるわけにはいかない!
「私を縛る過去の鎖を、今こそ断ち切ります!」
 征こう、先輩!
 
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 あと一歩のところで私のカーバンクルが力尽きる。その隙に、毒心のデュースマガは右舷船首側へと駈けだした。
 私は慌てて追いかけようとするも、体力も気力も限界で追いつけない。
 でも、先輩は慌てなかった。
「はんっ、わしを踊らせたつもりか!?」
 なにせ、デュースマガはもう先輩の掌の上で踊っていたから。
 海へと逃亡を図ったデュースマガだったけど、すでにモーニングスター号は十重二十重のイエロージャケットに包囲されていた。
 たったふたりの戦力相手にムキになったがゆえの失策。こんな大包囲網に気づかないなんて船乗り失格だよね。
 それもこれも先輩の戦術の勝利。



 
 
 
 
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「以上、証明終わりです」
 リヒャ先輩はQ.E.D.とつぶやいた。ちょっとだけ寂しそうに。
「ありがとうございます。キミなくして、成功しえない戦術でした」
 ルインも当たらなかったあの頃から、先輩とは共に戦ってきた。
「だから、私の戦術は、まだまだです。……当然ですよね?」
 うん、そうだね。私にはわかるよ。
「戦術は、望む現実を作るためにある」
 それはどっちが口にしたかは覚えてないけど、私たち巴術士にとって、私たち師弟にとって大切な巴術の基礎の基礎。
 なんなら戦術を、巴術を、人生かなにかと読み替えてもいい。
「なのに私は……本当に望む現実から目を背けていたんですから」
 私にはその先がわかる。
 まだまだ未熟な私にも、あの「先読のク・リヒャ」の「先」が読めた。
「私、ギルドマスターを探しに行きます!」
 答えは先に用意してあったから、海へと飛び込む先輩の背中に届いたよね?
「いってらっしゃい」
 命題は斯く示された。









 
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 リヒャ先輩は旅立った。望む現実を作るために。
 朝焼けってこんなにもまぶしかったんだなって思うと、さすがの私も船に酔わなかった。

 エステルの物語 第1部